本)全般・その他

柴門ふみ「そうだ、やっぱり愛なんだ」447冊目

漫画家の柴門ふみが、長年雑誌などに書いてきたエッセイを集めた本。先日たまたま、彼女の夫である島耕作、じゃなくて弘兼憲史のトークイベントに参加したら、これが抱腹絶倒の面白さで、妻はどんな人なんだろうと興味が湧いてきました。 当たり前なんだけど…

山内昌之・佐藤優「第3次大戦の罠〜新たな国際秩序と地政学を読み解く」410冊目

やっと読み切った。最近ロシアや旧ソ連諸国に旅行することがあって、にわかにロシアを取り巻く地政学に興味が出てきてしまった。私が行ったウズベキスタンは、イスラム教徒の多い中央アジアの国だけど、旧ソ連の名残りが強く残っていて、文化の中継地点、混…

ピーター・シンガー「あなたが世界のためにできるたったひとつのこと」405冊目

タイトルからは何の本かぜんぜんわかりませんね。よく働き効率よくお金を稼ぎ、そのかなりの部分を慈善活動に寄付して、それが実際に大勢の人や動物の命を救っていること、自分たちの将来に確実に効果をもたらしていること、を喜びにすること、また、そうし…

菅野完「日本会議の研究」404冊目

なんか鬼気迫る本でした。私はこういう、隙のない仕事をする人って好きです。世の中のビジネス本や啓蒙書には、少し調べた結果を自由自在にふくらませて、結局のところ自説を展開している、という本が多いといつも思います。面白ければ、趣味で読む分にはい…

佐々木健一「辞書になった男 ケンボー先生と山田先生」402冊目

すごく面白かった。三省堂の「三省堂国語辞典」と「新明解国語辞典」の編纂をそれぞれ主導した、ケンボー先生と山田先生の、辞書に関わるあらゆるエピソードをかき集めて、辞書を版ごとに精読し、浮かんできたヒントを丁寧につなぎ合わせて、ひとつの大きな…

萱野稔人・小林よしのり・朴順梨・輿那覇潤・宇野常寛「ナショナリズムの現在」399冊目

これは面白かった。最初の、5人の対談が特に面白い。5人バラバラに見ると、アクが強いな〜〜と思って引くことも多いのに、3すくみ、ならぬ5すくみというか、あっちに偏りこっちに尖っている意見が、大きな円のなかにすっぽり包み込まれたように、生き生…

C.ダグラス・ラミス、姜尚中、萱野稔人「国家とアイデンティティを問う」398冊目

わりと面白かった。この3人が、国家って何よ、国民って何よ、といったことを議論する、わずか60ページの岩波ブックレットですが、それぞれの立場がそのままそれぞれの意見を形成していて、やっぱりいろんな立場の人と話をしないと面白くないなぁ、と実感…

萱野稔人「ナショナリズムは悪なのか」397冊目

津田塾大学に総合政策学部というものができるらしい。社会科学系の学科は国際関係学科しかなかった。そもそも学部が一つだけだった女子大に、いまなぜ新しい学部が。その謎をとくのが、同大学きっての著名教授、萱野稔人ではないかと思って、読んでみました…

ジャニス・P・ニムラ「少女たちの明治維新 ふたつの文化を生きた30年」396冊目

面白かった!津田梅子や山川捨松のことを書いた本は何冊か読んだけど、どれも偉人伝ばかりで、この本は彼女たちの肉声をたっぷり拾い上げていて、ここにきて初めて彼女たちに出会ったような気持ちです。生まれ育ちから渡航、お人形のようにどこに行っても注…

米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」395冊目

まさかのノンフィクション。まず、ノンフィクションにこのタイトルをつける感覚がすごい。かつて、当代一のエッセイストと呼ばれた故・米原万里の本をちゃんと読むのは初めてです。 まず何が面白いかというと、人物描写が率直でおかしい。”あけすけ”過ぎて、…

中山恭子「ウズベキスタンの桜」393冊目

さまざまな重要任務を歴任してきた官僚・政治家ですが、1999年にタシケントの日本大使館に大使として赴任した直後に、隣国キルギスで現地で働いていた日本人が誘拐される事件が起こったのは彼女のキャリアの中でも特に大きな難局だったのではないかと思われ…

片田珠美「自分を責めずにはいられない人」392冊目

続いてもう一冊読了。「自分を責めずにはいられない人」にも、当てはまるなぁ。がっかり。私の場合は、親から間接的に期待されたり追い込まれたりしたんじゃなくて、明らかに家族のなかで一番困った子という扱いをずっと受けてたんだけど、そういう人たちが…

片田珠美「上手に「自分を守る」方法」391冊目

わりと、ものものしいタイトル。私は、わりと「いいよいいよ」と仕事を引受けては、最後にやりきれなくなったり、「お前が全部悪い!」と逆切れされたりするという悪いクセがあって、わりあい被害者意識も持ちがちだと自覚してる。悪いクセを断ち切るコツが…

堀川恵子「永山則夫 封印された鑑定記録」390冊目

ノンフィクションです。集団就職で上京して、19歳のときに、たまたま手にした米軍の拳銃で、縁もゆかりもない4人を殺害して、裁判の末死刑になった永山則夫という人について、本人の手記を含めて本はたくさん発行されました。これは、最近になって知られ…

東田直樹「自閉症の僕が飛びはねる理由」389冊目

ジャンルとしては、エッセイかな? 「ビッグイシュー」に連載している彼の”往復書簡”で、考えの深い人だなぁと常々思っていたので、単行本を借りて読んでみました。この本は、短い一問一答を集めた形になっていて、自閉症というもの(どこからが”病気”か、と…

嶌信彦「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」387冊目

近々ウズベキスタンに旅行しようというプランがあって、同行する友人から読めと渡されたのが、まずこの本。旧ソ連から独立したウズベキスタンの首都タシケントで、日本人捕虜が今も名所とされるオペラハウスを建てた話。日本兵の多くが、捕虜というのは辱め…

ガブリエル・ガルシア=マルケス「誘拐」384冊目

面白かった!手に汗握った!これ実話なんですよ。コロンビアの大規模コカイン密輸業者のドンが、ジャーナリストを多数誘拐して、自分が逮捕されても家族や自分の安全を保証させるための司法取引を政府にもちかけます。実際に誘拐された人たちや家族、関係者…

森達也「放送禁止歌」381冊目

面白かった。自分の身に迫ってくる、ぞっとするものもあった。 新宿バルト9の地下にある、Brooklyn Parlourっていう相当いけてるカフェラウンジには、写真集やら単行本やらいろんな本が置いてあって、読みながら時間をつぶすこともできれば、気に入ったもの…

丸山俊一「すべての仕事は『肯定』から始まる」378冊目

著者は、「英語でしゃべらナイト」「ニッポンのジレンマ」「爆笑問題のニッポンの教養」、最近では「ニッポン戦後サブカルチャー史」といった番組で、常に私の知的好奇心を刺激し続けているNHKの敏腕プロデューサー。そういう人がたとえば、あんまりオフィス…

「意外なツボがひと目でわかる世界地図―政治、経済、宗教、紛争… 」376冊目

面白かった!地域別に、宗教や産業、軍事関係などの対外的あるいは国内で重要な、それこそ“ツボ”というか肝になりそうな小ネタの集大成でした。 といわれても、出版社も困るだろう。この本を買ったのは2007年で、その後世界情勢はかなり変わってきてるから。…

「手塚治虫クロニクル 1946~1967」364冊目

どうしても「ロスト・ワールド」「メトロポリス」「来るべき世界」が読みたくて、図書館で借りました。しかし、1冊にずいぶんいろいろ入ってると思ったら、どの作品もごく一部しか載せてません。プレビュー版です。トライアル版です。あ〜あ。 といっても、…

想田和弘「日本人は民主主義を捨てたがっているのか?」363冊目

著者はドキュメンタリーを撮っている映画監督で、彼の「精神」という映画を見たことがあります。マイケル・ムーアの映画とか見てると、ドキュメンタリーって結局フィクションだな、気を抜いて見ていると監督の考えが刷り込まれるようになっている・・・と思…

黒岩有希「ニキとヨーコ」357冊目

いま国立新美術館でニキ・ド・サンファル展をやっていて、それに合わせて作られたこの本も売店で売られていたので買って読んでみました。 ニキとヨーコ 下町の女将からニキ・ド・サンファルのコレクターへ 作者:黒岩 有希 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: …

パトリック・ノートン「能楽師になった外交官」349冊目

アメリ・ノートンのパパの書いた本。娘の小説は、おそろしくアクが強いけどとても端正で文章が綺麗だと思う(翻訳しか読めないけど)。お父さんの文章も、丁寧で綺麗で(これも翻訳しか読んでないけど)、明るく社交的。若い頃にコンゴで4ヶ月間も人質にな…

斎藤憲二「株式会社ドバイ」339冊目

これはいい本だった。他がダメだというより、いままでに読んだ他の本と違ってバブル崩壊後に書かれた本だという点が大きいです。猫も杓子もドバイドバイと騒いだあと、確かめもせずに「終わった」という人たちが現れ、現地でずっと状況を見ていた著者=なん…

福田一郎「ドバイにはなぜお金持ちが集まるのか」338冊目

ドバイ本も4冊目になると新しい情報がないです。著者のせいではないです、4冊目だから。あと、この本が書かれたのもドバイが万事急上昇中だった2008年の本だから。そして、お金持ちが集まる理由は、ドバイが0タックスのハブ地、観光地として国をあげて開…

松原直美「住んでみて、わかった!イスラーム世界」337冊目

副題は「目からウロコのドバイ暮らし6年間」。出版年度は2014年です。 これは「地獄のドバイ」と比較すると”天国のドバイ”といってもいいよう世界ですが、そもそも取り上げられている人々の階層が違います。この本には、家にメイドがいる人たちしか出て…

峯山政宏「地獄のドバイ」336冊目

最近の海外旅行は、老後の移住をうっすらと思い浮かべながら行ってる私ですが(お金ないけど)、ひょんなことからリストに上がったドバイについて、適当に本を取り寄せて読んでみました。良さそうな本も悪そうな本も含めて、こういうときは濫読です。 「地獄…

雨宮処凛「なにもない旅 なにもしない旅」334冊目

読み終わって暗い気持ちになった。最後まで読んだりしなければよかった。私はどんな旅行も好きで、なにもなさそうなところのなにもない宿に泊まってさえ、必ず「面白い!」と叫べるほど、好奇心には自信がある。この本もそういう人の心踊る本かと思ったら、…

斎藤明美「高峰秀子の捨てられない荷物」332冊目

たまに買う「クロワッサン」に、この人はほぼ同じ内容のエッセイを連載してます。単なる転載かなと思うくらい同じエピソードが多いけど、タイトルは別らしい。文中いつも謙遜してみせる割に冷静な文章を書く人だけど、ほかの内容の本はほとんど書いてないみ…