これは、20年にわたって志村けんの付き人兼運転手~弟子として身近に見てきた芸人の書いた回想記。日本じゅうの人たちが、志村けんのことをもっと知りたかったと思っている今、すごく求められていた本だと思います。
ものすごくストイックで、芸のために自分の楽しみなんて考えることもないような人生だったのかな。新聞を読み映画を見て、常に周囲に気を配る。ドリフターズの中で最初からお笑いを目指したのは彼だけ(もともとはバンドだから)なので、心構えが最初から違うんだろうな。舞台でお客さんの厳しい反応に接して、それに自分もこたえる、という形でどんどん研ぎ澄まされてきた芸はチャップリンとかのボードヴィルのスターみたい。言葉がなくても圧倒的な体の動きで、小さい子からおじいさんおばあさんまで、どこの国の人でも、みんな笑ってしまう。
下ネタも多かったし、昔は(テレビの規制が今ほど厳しくないうちは)裸の女性もたくさん出て来たから、成功して好きなことやってる、やらしいおじさんなのかなと思ったこともあったけど、それだけでずっとここまでやってこられる訳ないのだ。
しみじみ、しんみり…。