オムニバス短編集「猫はわかっている」752冊目

タイトル借りしました。うちの三毛は背中を向けてソファの上でごろんと寝てる。

村山由佳「世界を取り戻す」で、猫は生涯に一度だけ人間の言葉を話すと書いています。「じゃあ、そろそろいくワ」といって旅立った灰色のおじいさん猫。うちの子はときどき「ごはん」って言うけど、もっとまじめに話しかけてくる日を覚悟しておこう。

有栖川有栖「女か猫か」は、誰も死なない密室ミステリー。

阿部智里「50万の猫と7センチ」、これは出ていきそうで出ていかなかったりする、野良猫の話。外で生きていた生き物と仲良くなる奇跡。早く家に帰って自分ちの猫を抱きしめよう、という気持ちになる。(目の前で寝てるけど、もし出かけてたら、ということで)

嶋津輝「猫とビデオテープ」は大学のころのビデオテープレンタル屋で知り合った権田という男とその妻との思い出の話なんだけど、「横道世之介」を思い出した。望月麻衣「幸せなシモベ」は預かった”可愛くない”ペルシャ猫を愛するようになり、自分のことも肯定できるようになる女性の話。長岡弘樹「双胎の爪」、カツセマサヒコ「名前がありすぎる」も面白く読みました。

猫がいる風景は、みんな自分らしくいられるのがいいのだ…。