千早茜「透明な夜の香り」1255冊目

面白かった。世界観をたんのうしました。楽に読めて、ちょっと耽美的で清潔な世界にいられて、こういう小説は好みです。いつも切ったりはったり憎んだりさげすんだりする小説ばっかり読みたいわけじゃありません!

といっても、この感じが「合う」のは少女まんがをたくさん読んで育った女性だからだろうな、という気もします。登場人物たちが繊細で、舞台となるお屋敷がすごく丁寧に綺麗に整備されている感じとか。

香りに関係のある仕事をしている人が書いた小説かしら、と思ってよく見たら、私この人の「しろがねの葉」が既読でした。大きな賞を受けたことがきっかけだったと思います。それとこれとはかなり読後感が違います。大ハッピーエンドを書く人ではないと思うけど、「しろがね」はわりと重い話だったし、読後感がかなり切なかった。一方のこちらは、どんなに繊細な人が読んでも読み終わってから死んだりしないだろうと思えます。(「しろがね」読んで死ぬ人もいないと思うけど)

最近、”泣くための小説”じゃなくて、本当に傷ついた人が、二次被害とかバッドエンドとかをおそれずに読めて少し安心できるような、細やかな心遣いの行き届いた小説が多いなと感じます。20~30年前には女性をもてあそんでポイ捨てするミステリーなんてザラだったのを思い出すと隔世の感もあるし、それだけ現代の一般人はみんなほんとうに傷ついて疲れているんだなという気もします。

ともあれ、この調香師シリーズ面白そうなので引き続き読み進めていきます。