西加奈子「漁港の肉子ちゃん」423冊目

西加奈子らしい作品だなぁ。
太っているけど、変な顔をするけど、あたたかくて大好き、という世界。
この人の世界には、人と交わることに対する強い不安があるけど、本格的な脅威や絶望は存在しない。
読んでる自分は今けっこう、絶望的な気持ちだったりするので、なにか物足りない気がする。
みんな肉子ちゃんになれるわけじゃない・・・というより、肉子ちゃんという人物造形がちょっとひらべったく感じられる。こんなに都合よく鈍感で優しい人なんていないんじゃない?この人、人間じゃなくて神様でしょう?
書いてる著者がきっと優しい人なんだと思う。

たぶんだけど、私はこの人の震災後の作品の方が好きだと思う。