2021-01-01から1年間の記事一覧

カズオ・イシグロ「クララとお日さま」695冊目

カズオ・イシグロ買って読んだの初めてかも。映画があれば先に見ちゃうし…。今までに本で読んだのは「遠い山なみの光」と「忘れられた巨人」だけ。映画で「わたしを離さないで」「日の名残り」「上海の伯爵夫人」。じつに丁寧に作られたすばらしい映画で、言…

しいたけ.「しいたけ.の小さな開運BOOK」694冊目

発売と同時に読んでみました。 どうしても、自分が何色かわからなかった…。 オタクで対人関係が苦手なエメラルドか。仕事のときだけはきびしいネイビーか。マイペースでメモ取りな茶色か。運命に翻弄されるけどへこたれない金色か。 基本は茶色かエメラルド…

たつなみ「すこしずるいパズル」693冊目

これ、Twitterで流れてきたのを見て、すごく面白かったので買ってしまいました。むずかしくてヒントなしではほとんど解けないのですが、ヒネリが利いていて、なんか可愛いので挑戦するのが楽しい。 夕方に届いて、夜遅くまで解き続けてしまいました! Twitte…

デヴィッド・グレーバー「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」692冊目

ものごころついたときから、(本当に偉大な仕事は、土から食物を生成する農民なんじゃないか?つまり、それ以外の製造業もサービス業も、それほど重要じゃなかったり、なくてもいいものなんじゃないか?)という思いに取りつかれて、目の前の勉強や仕事に今…

吉永小百合(取材・構成 立花珠樹)「私が愛した映画たち」691冊目

日本の女優の大本命、吉永小百合がとうとう自分の作品を振り返る本を出してくれました。立花先生、大活躍。 吉永小百合って人は若い頃のチャキチャキした役柄のとおりの、竹を割ったような性格の行動派だな、という印象ですね。いくつになっても若々しく明る…

宇佐美りん「推し、燃ゆ」690冊目

直近の芥川賞受賞作品。図書館で500人待ちの末やっと手元に届きました。 まず、この本は抜群に面白かった。アイドルって言葉は今はもう使われないのね。「推し」のことを名前で呼ぶことも少なくて、ファン本人も「推し」と呼び合っている。自分の「推し」に…

萩尾望都「半神」689冊目

また萩尾望都の単行本を買ってしまった。この短編集は、どうも過去にまるごと読んだ記憶がある。それにしても面白いし美しい。少女まんがにしかない「夢」がある。うっとりした感じ。「去年マリエンバートで」みたいな、ゆったりとして夢見るようなトーン。…

村田喜代子「人の樹」688冊目

敬愛する村田喜代子の本、しばらく追っかけていなかったうちにたくさん出版されてました。順次、読んでいきます。 この本は、かなり異色。タイトル通りともいえるのですが、1つ1つの短編で、樹木を人格のあるもののように描いています。たとえば「あたしは…

モハメド・オマル・アブディン「わが盲想」687冊目

高野秀行の本をたくさん読んでたら、この人のことが出てきて、興味がわいたので読んでみました。スーダンの視覚障碍者で、日本の鍼灸学校に留学してきた後、コンピューターや政治を学んで、東京外大の助教になったらしい。長年学生でい続けたことのうしろめ…

三島由紀夫「金閣寺」686冊目

最初に読んだのがいつかなんて思い出せないくらい昔だけど、「100分de名著」に刺激されて再読。本より最近みた「炎上」とか「五番町夕霧楼」(佐久間良子も松坂慶子も)の印象のほうが強い。 人が自分の勤務先の、しかも、貴重で美しく古くて大事な建物を焼…

萩尾望都「バルバラ異界」683~685冊目

<ネタバレあり> 図書館で4か月順番を待ったけど、まったく順番が進まないのでとうとう買いました。複雑かつ広がりのある、SFでありながら少女まんがの美とロマンを備えた名作でした。 去年マリエンバートで はもちろんのこと、惑星ソラリスと、ミッドサマ…

ロビー・ロバートソン「自伝 ザ・バンドの青春」682冊目

この本をもとにしたドキュメンタリー映画をやっと見たので、本の方も読みたくなってしまった。上下二段で515ページという分厚い本だけど、ロビー・ロバートソンの生い立ちからザ・バンド解散直前の「ラスト・ワルツ」まで、彼と一緒に一生を生きなおすかのよ…

ホルヘ・ルイス・ボルヘス「伝奇集」681冊目

ベルトリッチ監督「暗殺のオペラ」を見たんですよ。で、原作も読んでみたくなって借りてみたわけ。この本でボルヘスは、書かれなかった本のあらすじだけを語るっていう体裁で、いろんな物語を語ります。その手法は、ズルいくらい読みたい心をそそる、読む人…

伊藤計劃「虐殺器官」680冊目

2007年に書かれた著者の初長編小説で、日本の2000年代を代表すると言われている作品。遅ればせながらテッド・チャンやケン・リュウを読み始めた日本人としては、押さえておくべき作品。 アメリカ軍に所属する暗殺者である「ぼく」が語る形になっているSFであ…

村井章介「世界史のなかの戦国日本」679冊目

高野秀行の読書本で取り上げられてたのを読んでみました。歴史がまるでダメで、大河ドラマとか見ても全然理解できない私にはとても難しい本だったけど、面白かった。蝦夷地や琉球の支配、ヨーロッパからの武器の伝来、倭寇や秀吉の朝鮮出兵といった出来事を…

工藤吉生「世界で一番すばらしい俺」678冊目

Twitterでどこかからこの著者の言葉が流れてきてちょっと驚愕&ドン引きして、気になってフォローして、歌集を読んでみなければと思って借りてきました。 著者の想像どおり「あとがき」から読む。どういう人なのか知りたい(下世話な好奇心)。 読むのがちょ…

乾き亭げそ太郎「我が師・志村けん」677冊目

これは、20年にわたって志村けんの付き人兼運転手~弟子として身近に見てきた芸人の書いた回想記。日本じゅうの人たちが、志村けんのことをもっと知りたかったと思っている今、すごく求められていた本だと思います。 ものすごくストイックで、芸のために自分…

西日本新聞「九州の100冊」676冊目

私が好きな作家として挙げる村田喜代子、佐藤正午、松下竜一という3人は全員九州の人だ。なかでも松下竜一は西日本新聞の短歌の投稿欄で頭角を現した人なので、きっと彼のことが書いてあるに違いないと思って借りてみたら、案の定取り上げられていました、3…

高野秀行「移民の宴」675冊目

今度は日本国内にある、各国からの移住者コミュニティを訪ねて、彼らのご飯を見せて(食べさせて)もらうという企画。海外に出ることも戻ることも難しくなっている昨今、これはいい企画だ(書かれたのは10年も前だけど)。 たいがいの海外からの移住者は、自…

高野秀行x清水克行「辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦」674冊目

高野秀行の辺境書を何冊か読んだ流れで、これも読んでみました。 急にハードル上がったかな。歴史をまるきり全然勉強してこなかった、受験科目からも外した私には、出てくる日本史上の話にまったくついていけません。でもすごく面白い。辺境を目指す人たちは…

「月10万円で豊かに暮らせる町&村 Vol.1と2」672~3冊目

年金が出るまでまだあと10年もある。それまで(それ以降も)なるべく貯金を減らさずに暮らすにはどうすればいいか…。収入を増やすか。でも今はフルタイムでガチガチに働くのはもうしばらく休みたい(あるいはこのままやらずにすませたい)。そうなると生活費…

高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」671冊目

海外旅行いけないなら、高野秀行の本を読んでればいい。というか下手に海外旅行行くより面白くて充実してる。というかこんなところ一生行けない。 この本は、物騒な予感がするので後回しにしてたけど、思い切って読み始めたら、いつも通りの抱腹絶倒ぶりでし…

ジョシュア・フィールズ・ミルバーン+ライアン・ニコデマス「minimalism 30歳からはじめるミニマルライフ」670冊目

荷物を減らして田舎暮らしをしたい、キャンピングカーで生活したい、とつぶやきながらまたこんな本を借りてみます。(ガラクタでいっぱいな部屋の中で読んでる) ハウトゥも少しはあるけど、ほぼ全編が、過剰でストレスフルな生活から不要なものを排除してミ…

立花珠樹「もう一度見たくなる100本の映画たち」669冊目

この著者の「あのころの日本映画が見たい」を手に取ったのが、私が映画を片っ端から見るようになったきっかけでした。なぜか感想文が残ってないけど多分2011年のこと。ちょうど10年前ですね。新刊が出てたのでさっそく読んでみます。 目次をぱらぱら…この10…

J.T.リロイ「サラ、いつわりの祈り」668冊目

これが「J.T.リロイ」名義での2冊目。時系列的にはこっちがずっと先で、4歳のジェレマイアが里親から娼婦の実母サラのところに戻され、福祉の人が聞いたらただでは済まないような逆境の中でゆがみながら育っていく様子がつづられています。 これってちょっと…

J.T.リロイ「サラ、神に背いた少年」667冊目

VODで「作家、本当のJ.T.リロイ」を見たら読みたくなってしまった。これを書いて、JTリロイのマネージャーとして世に出たローラ・アルバートという女性は、虚言癖なのか多重人格なのかわからないけど、人を騙して儲けようという意図でやったのではなさそうだ…

沼畑直樹「最小限主義。」666冊目

思い出も愛着も、基本的に「人には何も必要ない」と決めてしまえば、ポイポイ捨てられれう気がしてくる。私は実家を引き払ってきていて、生まれたときからの荷物を全部持ち歩いている。アルバムも絵も文集も、愛読書もCDも。レコードやカセットテープまであ…

個人事業者の確定申告の本2種 664-665冊目

両方ともよい内容だったので、備忘録として書いておきます。両方とも成美堂出版でお値段も同じだけど、前者は「ムック」で4コマ漫画まではさみこんでいて、本当にわかりやすい。詳しくはないけど、私みたいに苦手意識が強くてとっかかりがわからない者にはあ…

坂下千瑞子「がんになった人だけが知っている人生で大切なこと」663冊目

中年になると、友人や知り合いにがん経験者が何人もいます。私なんて、健康診断で再検査になっただけで眠れないくらいなのに、見つかってしまって、入院することになって、手術して…という心労は想像もできないです。何の気なしに、あるいは励ましたり慰めた…

鎧淳 訳「完訳バガヴァッド・ギーター」662冊目

「マハーバーラタ」は完全に現代語訳になっていたので面白く読めたけど、この本は古文調なので読み進めるのがキツかった、というか、結局最後まで眺めただけでした。むずかしすぎます。原文もご神託なのでおそらく全く分かりやすくはないと思うけど。 わかっ…