中野信子「人は、なぜ他人を許せないのか?」598冊目

なんか切実です。

日本の会社における外資系から来た人。家族を養っている人に対して一人で好きなように暮らしている人。いろんな「違い」が重なると攻撃が集まる。多数派の人たちが固まって気持ちよさそうに陰口を言う。重篤になると本人に面と向かって何か言い出しても自分がおかしいと気付かなくなる。

そういう「おかしさ」に気づけない人たちがいて、数が集まってくると上の人たちも外の人たちもそういうもんかと思うようになってくる。もうホラーです。命からがら逃げて来て、逃げられて本当によかった、生きててよかった、ということになります。

この本はきっと、ネットやリアルで無関係の人たちを攻撃し続けてる人たちが読んで気づいてくれたら…という気持ちで書かれたんじゃないかな。そういう人は被害者意識しかないから自分のこととして読まない、ということも認識しつつ。祈るように。

大きい目で見ると、人を攻撃する人は普段の生活に不満があるから攻撃対象を求めるので、ざっくりと「みんながもっと幸せになるといい」と思ってたけど、そういうものでもないのかな。

このテーマは「魔女狩り」「村八分」の昔から普遍的で重大なので、人間のメカニズムが少しでも明かされて、澱をぶつけられる人たちが救われる方法が見えてきたらいいと思います。 

人は、なぜ他人を許せないのか?

人は、なぜ他人を許せないのか?