2023-01-01から1年間の記事一覧
この人の本は全部面白い。ほんとに面白い。この面白さは、ドリフとかひょうきん族とか、バカバカしさの笑い(「ありえない!」)の中で育ってきた人が、どこかにずっと持ち続けて、待ち続けていた面白さじゃないかな?そして、一つ一つ実践して面白くなかっ…
これも「一万円選書」の一冊。これは読むのに時間がかかった~。エネルギーも必要でした。この表紙にあるような穏やかでのんびりした雰囲気とは真逆の、苛烈なファーマーの生活が淡々と語られていて、その臨場感のおかげで読んでいるだけで一緒に消耗してし…
「ルポ路上生活」を読んでから2か月くらいか。これも面白かった。こっちは著者がオドオドしていて(結局何でもやってるけど)(というか形容するうえで放送禁止用語がたくさん必要になる人が多すぎて危険)、なんとなくまだ腹が座ってないような印象。結びの…
最近ときどき日本語の変遷についての意見をどこかで読んだり見聞きしたりすることがあるんだけど、小さい頃の厳しい国語の先生たちとは違って、「言語は変わっていくものだ」「俗語や、当初は誤りとされた読みが定着して正しいものと見なされることは歴史的…
面白いわ。やっぱり面白い。しかも短い。”ツイッター小説”(これからはX小説と呼ばねばならないのか)よりは多分長いけど、文庫本を手に取って読もうという気持ちで向き合うとあっという間。短いけど、物足りなさは皆無。従来のありがちなミステリーやロマン…
ブレイディみかこが幼い子ども(といっても小学生中高学年くらいから?)に向けて書いた絵本。絵は「ぼくはホワイトでイエローで、ちょっとブルー」の表紙と同じ、多感できれいな目をした少年の絵。 この子がある雪の日、母親に連れられてホームレスをシェル…
超面白い!超難しい!全然解けない! だってヒエログリフの解読とかあるんですよ。これパズルというか、暗号解読ですらなくて、未知の言語体系を解き明かすという、知的好奇心の果てのような体験です。いや、解きやすいようにすごい専門家の方々が組み立てて…
コンビニに行くたび、日本に外国人労働者は不可欠だと思う。その割に移民問題をあまり知らない、理解してない人がほとんどで、ちょっとバランスがおかしいと感じる。 この本は、そういう「何もしらないけどお世話になっている人」が現状を把握し、今後どうす…
ボルヘスの短編集は何冊か読んでるけど、このタイトルになっている短編「ボルヘスとわたし」が読みたくて借りてきました。あまり他の短編は読んでないけど、今回はこれでいったん返却予定。 どうしてもこれが読みたかったのは、以下のように連なって現れてき…
面白かった。辞書を編纂している飯間浩明のツイートや文章と比べると、従来の”正しい日本語”を守る傾向が強い、保守的な印象。飯間氏の仕事は「わからない言葉を調べるための書物」を作ることで、NHK文研の仕事は「だいたいの人がわかり、自然と感じる言語を…
大河ドラマだった~~。 満州国っていう、日本の中枢にいた昔の人が勝手に夢みた国の歴史をたぐり、こんなことやあんなことがあったんじゃないかと想像して書かれた物語だった。 数々の窮地を逃れてきた主人公が、ふいに没する場面がちょくちょくある。年代…
この本は素晴らしい! 世の中って、なにかネガティブっぽいことを言うことがタブーのような”空気”が強くて、そうなると常にポジティブであれという重圧に耐えて笑い続けなければならなくて、もう生きていること自体が辛くなっていく、というおそろしい悪循環…
すごく面白かった。と書くと、最新のブログや動画が面白かったのと区別のつかない貧しい表現になってしまうけど、気軽に読み始めたのに謎の要素やストーリーの先が気になって、続きを読みたいから早く帰宅する。厚い本だけど、電車やバスに持って乗る。 一目…
坂口安吾は「堕落論」の人、という印象が強かったけど、日本屈指のミステリーを書いていた!という話を聞いて、ワクワクしながら読みました。 戦後すぐの日本の文壇は、こんなに乱れていたのか・・・?と思うほど、異常に入り乱れた愛憎関係。それがとある山…
(ネタバレ?あります) あえてミステリーではなくSF枠で登録します。これはなかなか難解というか、難しい言葉をたくさん使っているけれど、要は量子力学(01ではなくその間のどこかに存在する)とかシュレディンガーの猫という問題をぶわっと膨らませて、ボ…
ニコルソン・ベイカーの「U&I(アップダイクと私)」を読んで、そこから本物のアップダイクに来た。(これにもおおもとの「ボルヘスと私」があるとは知らなかった。読まなければ!) これエッセイと書評を集めた本で、「アップダイクと私」は、作家として注…
これも読んだ。ずっとTwitterをフォローしているので既視感があるけど、ときどきレンタルさんの家族のことなど、知らなかった情報もあります。 受検は、なにかのゲームにムキになるみたいにがんばった記憶があるけど、就職や転職活動は私も心底イヤだった。…
不思議なことに、表紙にも目次にも作品解説にも、シェフチェンコのファーストネームが出てこなくて、年譜のページにやっと登場する。それくらい、シェフチェンコといえばこの人なんだろうな。ウクライナの偉人として広く尊敬されているらしい、画家で詩人の…
これもだいぶ前に「一万円選書」で選んでいただいた本。 こんな人生があったらな・・・と想像して書かれたファンタジーだと思うけど、童話みたいに「若い二人は結ばれました、めでたしめでたし」ではなくて、紆余曲折もあり、なぜか二人は結婚せず子どもも持…
面白かった・・・どれも面白かったのに、頭から最後まで読み終えた今、「ぬえの密室」のことで頭がいっぱいになっている。他の小説のことは全部抜け落ちてしまった。この本当っぽい短編、すべて実在する登場人物たち、いったいこの短編(のアイデア)は存在…
この続編が出ると聞いて、そういえばこの2冊目読んでなかったと思って読んでみました。やっぱり面白いな~ この頃からTwitterをフォローしてて、ドラマ化されたときもドラマと並行してツイートを読んでたので、臨場感あります。でも見てなかったネタも多い(…
「ルポ路上生活」の中で何度も言及されていたので、これも読んでみました。吾妻ひでおの描く女の子ってすごく可愛いなと子ども心に思ってたけど、ちょっとお下品系のエッチなマンガや、逆にすごくとんがったSFはまだ理解できなくて、普通の学園ものとかずっ…
雑誌の感想を書くのも変なかんじですが・・・この特集は素晴らしかったです。編集者も寄稿者も祈りを込めて作っていたと思うので、この特集が「追悼特集」となってしまったときの落胆や悲しみまで見えてくるようです。 アート関連の雑誌って「美術手帖」とか…
この本って・・・本物の暖炉がある、昔ながらの居心地のいいホテルの談話室みたいだ。ホテルの経営者と職員とで長年丁寧にメンテしてきて、そういうのが好きなお客さんしか来ない。そこに集う人たちには暗黙の了解があって、ずっと守られている暖かい親密さ…
すごく面白かった。考えさせられたというより、自分の物差しが一瞬グラっとした。それと、この実験は誰かがやってみる必要があったので、やってくれて本当に感謝するし、この経験は広くいろんな人に見てほしいと思う。 特に、路上にいる人たちを怖いと思って…
読ませるね~~、さすが「このミス」1位。 リアリティとか考える隙を与えず、とにかく先を急がせる。夕方から夜中にかけて一気に読み上げてしまいました。爆弾の詳細や設置方法を饒舌に語ったりしないところがいいんじゃないかな。最近のエンタメ小説は科学…
日曜美術館を見ていたらこの著者がマティス展で感想を述べていて、そういえばこの人の本を読んだことがないわと思ったので、読んでみました。これが2011年の芥川賞受賞作。 すっごく繊細な文章。書いている人と登場人物の感受性の強さに、自分まで神経が研ぎ…
「ぼくはホワイトでイエローで、ちょっとブルー」で著者を知ったので、それより前、2010年代に書かれたエッセイ集はちょっと過激で面白いです。2022年の「両手にトカレフ」で、内に秘めた激しさを見た気がしてたけど、今に始まったわけではなくて、上へ突き…
日本語教師の勉強を始めてから、ますます言語の面白さに興味が湧いてきました。とくに言語と言語の「キワ」ですね。日本語でいえば小笠原の英語と日本語が混じったクレオール言語とか、琉球語とか、このアイヌ語とか。今の琉球語やアイヌ語もたぶん、文法は…
内藤陳の「読まずに死ねるか!」を読んだら、冒険小説を愛するか彼が新宿ゴールデン街の自分の店の名前にまでした名作を読まずに死ねないと思って、読んでみました。 感想は、「かなり意外」。冒険小説って私のイメージは、車で移動するなら全速力のカーチェ…