ニコルソン・ベイカー「U&I」923冊目

Uってジョン・アップダイクのことか。好きだけどなぜか全部読んだ作品が少ない小説家のことを、知りもしないのにあれこれ妄想して1冊本を書いてしまった、という。やっぱりニコルソン・ベイカーって変な人だ。 でもこの本はすごく面白い。語り口がカジュア…

佐々涼子「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」922冊目

震災で東北の製紙工場が被災し、雑誌の紙のストックが印刷会社の倉庫にあと1,2ヶ月分しかない!と、取引先の出版社が紙を探して奔走してたことを覚えてます。結局、いつものクリーム色と違う真っ白な紙でその雑誌を印刷したのでしたが、その紙を使ったの…

佐々涼子「エンジェル・フライト 国際霊柩送還士」921冊目

この著者の本を片っ端から読んでます。どれも面白い。事実に忠実で、かつ、事実に忠実であろうとしている自分を偽りなく書こうとしている姿勢が誠実です。折しもAmazonプライムビデオで米倉涼子主演のドラマが放映されるそうで、表紙がドラマバージョンにな…

石原博光「まずはアパート一棟、買いなさい!最新版」920冊目

著者がご自身の考えと経験に基づくノウハウを、すごく正直に裏表なく、ウソ偽りなく、読者にシェアしてくれている本だと思いました。不動産投資に興味や経験がある人はたくさんいると思うし、アパート一棟から始めるとは限らないけど、これはどんな段階にい…

村田喜代子「百年佳約」919冊目

半島から九州にわたってきた陶工の家族たちの物語。「百年佳約」というのは、末永く添い遂げようという朝鮮半島の言葉だそうです。 去年はなぜか西九州に3度も旅行したんですよ。熊本城、阿蘇、高千穂、そして有田。有田の「内山地区」には色とりどり、形も…

門井慶喜「銀河鉄道の父」918冊目

これも「一万円選書」の一冊。映画化されると聞いて、映画を見る前に読んでしまわないと!とあわててページを開きました。 読みやすくわかりやすく、ものの2時間でするすると読んでしまった。「一万円選書」はこのように読みやすい本が多い。おそらく、本を…

村田喜代子「偏愛ムラタ美術館【発掘篇】」917冊目

敬愛する村田先生の美術もの、3冊目。書かれたのは2番目かな。【展開編】を読んだ1年前は、アートに食傷して「No art, no life」しか見なくなってた時期でした。その後、建築から再開し、最近は美術館にもたまには行くようになったけど、毎月上野に出かけて…

佐々涼子「ボーダー」916冊目

「エンド・オブ・ライフ」と続けて一気に読みました。本当にこの人の文章は読みやすく、わかりやすくて、きれいだなあ。 難民の日本での受入問題のひどさは常軌を逸していて、それが一過性の個人のいじめとかじゃなくて国家が継続的に多数の人に対してやって…

佐々涼子「エンド・オブ・ライフ」915冊目

一昨年「一万円選書」に当選した際に選んでいただいた本のひとつなのですが、図書館で予約した本は急に届いてすぐに返却期限がくるので、つい優先して読んでしまい、せっかくの一万円選書はずっと本棚で待たせてしまっていました。しかもこの本は、同じ著者…

地球の歩き方BOOKS「世界の魅力的な道178選」914冊目

「道」と一口にいってもいろいろありますが、大昔からの街道や小さな家々が連なる路地、眺めが素晴らしい道や造形が美しい橋・・・旅先で印象に残るそういう様々な「道」が178も紹介されています。 さすがにこの本は、行ったことがあるものが多いぞ・・・。…

劉 慈欣 「流浪地球」913冊目

「三体」で一世を風靡している劉 慈欣の、こちらは角川から出ている中編集。300ページほどのこの本に6編の壮大なアイデアが詰まっています。ほんとこの人、発想が宇宙級です。難しい科学の本を読んでるような難しさはあちこちにあるけど、SFですから全部つい…

荒木博一「世界失敗製品図鑑」912冊目

ビジネススクールの初級マーケティングの授業で使うケースを集めたような本だなぁと感じました。あえて裏話や内部の事情に触れず、公開情報だけでまとめたと前書きにあったので、ネットニュースを読んでいるような、あまり深くない印象になっているのかもし…

村田喜代子「姉の島」911冊目

やっぱり村田喜代子の小説は面白い。日本のというか九州八幡のマジック・リアリズムだ。更年期やガンとの戦いをテーマにした小説たちを経て、彼女の世界はふわふわしていた娘時代の空想に戻ってきたようです。どこまでがいわゆる現実で、どこからが空想か、…

ニコルソン・ベイカー「ノリーのおわらない物語」910冊目

この人の本を最初に読んだのは、1992年にロンドンに滞在してたときだ。半年しかいないのに、毎月1ポンドとかの廉価でペーパーバックが送られてくる「ブッククラブ」に入ってたときじゃないかな。ただしその本のタイトルは「VOX」、日本語版は「もしもし」。…

村田喜代子「エリザベスの友達」909冊目

敬愛する村田喜代子の小説、ぼーっとしてるといつのまにか読んでない新作がたまってる。久々に読んだこの作品の話者は、自分自身の更年期など過ぎ去って、施設で暮らす90代の母の介護をしている。もともとこの人の小説は、どこか筑豊マジック・リアリズムと…

小林真樹「日本の中のインド亜大陸食紀行」908冊目

片っ端からこの人の本を読んでる感じになってますが。 この本は、同著者の「食べ歩くインド」と「日本のインド・ネパール料理店」の中間という印象でした。読みやすいけど、やっぱり料理や食材の名前はすぐ忘れてしまって、何だっけ?と思いながらぼんやりと…

チャールズ・エリス「敗者のゲーム」907冊目

私が読んだのは原著第5版、日本語版の発売は2011年なので、その後だいぶ内容が変わっているかもしれません。といっても、投資に対する態度や考え方を科学的に指南した本なので、この本の内容自体がマーケットの動きと連動して変わってたら、そもそもこの本の…

ダン・サラディーノ「世界の絶滅危惧食」906冊目

正直、「絶滅危惧種」より「絶滅危惧食」のほうが興味がある。レッドリストに載っている美味なカニとかが載ってるのかな・・・(※載ってませんでした) 日本の人ならみんな、図鑑みたいなカラフルな本を期待すると思うけど、500ページもある大著でありながら…

村田沙耶香「地球星人」905冊目

最近わりと目触りのいい(そんな言葉ないか)小説ばかり読んでたので、毒気に当てられたくて久しぶりにこの人の本を読んでみる。 少女が自分自身のことを選ばれた魔法少女だと妄想し、同様に自分を宇宙人であると妄想しているイトコと共鳴しあう・・・という…

窪美澄「夜に星を放つ」904冊目

短篇集だった。どの短編にも星座や星がモチーフとして出てきて、どの短編も家族間の関係を切なく描いている。だいたい家族の誰かが死んでいたり、いなくなっていたりする。家族って星座みたいなものなんだろうか。天体は地球から見てほぼ不動だけど、あれと…

地球の歩き方BOOKS「世界のおみやげ図鑑」903冊目

次々とこのシリーズを読んでみます(これって読むための本?)。 女性の多くは、旅に出るときはただ行って帰ってくるんじゃなくて、たっぷり思い出を作って、かつ、自分にも友達にもおみやげをたくさん買って帰るんじゃないかと思います。 この本に載ってい…

地球の歩き方BOOKS「世界のすごいホテル」902冊目

このシリーズおもしろくてあれこれ読んでますが、今度ばかりは!私が泊ったことのあるホテルは1つもありません!わりと遠い国にも旅行したけど、遠ければ遠いほど、言葉や移動の問題がありがちなので、ツアーに入りがち。そうすると、無難で室数の多いホテ…

高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」901冊目

単行本の小説はすぐ読み終わる。この本も、順番を待ってる人がたくさんいるから、早く図書館に返しに行かなければ。 ところで、日本社会っていつからこの本の中の職場みたいに均質化してしまったのかな?私にいたいろんな職場には、しょっちゅうケーキを焼い…

小林真樹「日本のインド・ネパール料理店」900冊目

ものすごく面白い本だった! ご近所散歩から飛行機を乗り継いで行く地球の果てまで、あらゆる旅を続ける私としては、徒歩で行ける非日常である「その国で生まれ育った人がやってるレストラン」に行くこともまた、旅の楽しみのひとつ。同じ著者の「食べ歩くイ…

川上未映子「春のこわいもの」899冊目

6つの短編が収録された単行本です。どれも面白かったけど、「くすり」と共感するには笑いがなくて、どきっとして目が覚めるという驚きもなかったかなぁ。わりと面白かったよと読み飛ばしていいんだろうか。この作者は、もっと深い、いわゆる”爪あと”を読者に…

友利昴「エセ著作権事件簿」898冊目

面白かった。刺激的だった。タイトルやデザインのテイストがトンデモ本やゴシップサイトみたいだし、文中ちょくちょく英語の四文字言葉に相当しそうな表現が出てくるけど、これはおそらく、法律書を読まない一般の人たちのための由緒正しい法律書だと思いま…

地球の歩き方BOOKS「世界のすごい駅」897冊目

最近。このシリーズをぱらぱら読んでうっとりするのが日常になってるな。 旅行行くときは国内。これでは「兼高かおる世界の旅」を見ていた戦後世代じゃないか。まぁこれも楽しいからいいか。(環境に順応するタイプ) さて恒例の「私はこの中の何カ所に行っ…

恩田陸「puzzle」896冊目

この作家は、”しつらえ”を作るのがうまいなぁ。ワクワクしながら読み始めて、わずかずつ明かされる謎にドキドキする。この作品に関しては、何重にも重なる複雑な構造があるわけではないのと、映像化しやすいイメージが続くので、テレビのスペシャルドラマみ…

小林真樹「食べ歩くインド 北・東編/南・西編」894・895冊目

誰なんだ、こんなすごい本が書ける人は? やっと最近、こじゃれたインドレストランでカレールーを使わない”スパイスカレー”と呼ばれるカレーを食べて、なにかちょっとイケてることをしてるんじゃないかと思ったり、大久保のネパールレストランで「地元っぽ~…

トマス・J・スタンリー&サラ・スタンリー・ファラー「その後のとなりの億万長者」893冊目

先日読んだ「となりの億万長者」の続編。これも、質実剛健な生活によってお金の心配のない人生をつかみ取った人たちについて調査研究した良書です。 個人的には、前著とこっちのどちらかを読めばいいような気がするけど・・・。 お金をたくさん持って贅沢な…